尾道地区保護司会「社会を明るくする運動」入選作文【11】おっちゃん達が教えてくれた人権

尾道地区保護司会(小川曉徳会長)が行った第67回「社会を明るくする運動」作文・標語コンテストで表彰された作文を掲載する。

「おっちゃん達が教えてくれた人権」

久保中学校3年 手塚桃子さん

今年の二月上旬、私はあるボランティアに参加しました。それは、大阪の釜ヶ崎と呼ばれる路上生活者の方々に、おにぎりや味噌汁といった食料と毛布を配給したり、健康確認をしたり会話をしたりするという内容でした。参加する前は、路上生活者、いわゆるホームレスの方に、少し偏見を持っていました。そのため危険な目に遭うのではないかという不安がありました。

最寄りの駅に着くと、もう駅の周辺にはたくさんの方々が路上で寝そべっておられました。その光景には正直驚きました。少しの異臭等にも衝撃を覚えました。クラブ活動の一環として参加したので、集団でいましたが、警戒心がない訳ではありませんでした。そんな時、一人のおじさんが声をかけてこられました。「あとでよろしゅうな」そう言って右手を振られました。その人は私がボランティアでここに来たのを分かっていて、初対面である私たちにとてもフレンドリーに話しかけてくださったのです。それだけのことですが、とても心が温まり少し安心しました。

ボランティアの説明があり、知らないことをたくさん知りました。この地域では路上生活者を「おっちゃん」と呼ぶこと。そしておっちゃん達は、社会においてとても重要な役割を果たしていることです。以前、関西空港建設の際に、おっちゃん達はその建設に参加されたそうです。他にも、多くはありませんが公共事業に参加され、そこで報酬をもらったりされていることを知りました。私は、社会全体が支え合っていることに感心しました。

いよいよボランティアが始まりました。何人かのグループに分かれ、大阪のいたるところを周りました。最初に、川辺のベンチで寝ているおっちゃんに話しかけました。寒い中、新聞を毛布代わりにして、寒さをしのいでおられてびっくりしました。五、六人のグループで話しかけると、飛び切りの笑顔で「おおきに」と言い、おにぎりと味噌汁、そして毛布を受け取ってくださいました。

その後、ちょっとした雑談をしたときに、一つ驚いたことがありました。それは、そのおっちゃんは星についてとても詳しかったことです。「あれは何座で、あれは何座」というように説明してくださいました。その日の星は、とても綺麗でつい見とれてしまうほどだったことを覚えています。その後、ある公園を訪れました。そこには、いくつかのダンボールの塊があり、それがおっちゃん達の家だとすぐ分かりました。一人ひとり話しかけても、なかなかダンボールの中から応答がなく、四人目でやっと話せるおっちゃんが出てきました。支給物を配り、雑談をしました。そのとき、私はある恐ろしい話を聞きました。最近、ホームレスへの襲撃事件が相次いでいること。その内容は、とても残酷で、むごいものでした。おっちゃんが寝ているダンボールに放火する、しかも犯人は、ストレスのたまったサラリーマンや高校生の集団だそうです。この事を知り、とてつもない怒りと、先ほどまで自分にあった偏見への恥ずかしさがこみ上げました。私はその時、社会の裏側を見て、今まで考えもしなかったおっちゃんたちの人権を思い、胸が苦しくなりました。さっきなかなか応答がなかったのも、それに対しての警戒心があるからだと知りました。

私たちは、偏見や自分の思い込みだけで、誰かの人権を、いとも簡単に傷つけているのかもしれません。自分の知らない世界を自ら知ろうとすれば、未来は誰にとっても大切で明るいものになるということが、今回の経験を通してよく分かりました。

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