因島のバスの現状と課題 不可欠な陸上公共交通 利用の促進に営業努力

広島県内のバス業界3位県東部で最多のバス路線網を展開する中国バス(福山市)は6月、両備バス(岡山市)に事業譲渡する方向を発表した。この問題は、利用者の減少や燃料費の高騰などによる経営不振の苦境にさらされているバス業界全体の現状を象徴しているといえる。

今年で創業55年目を迎える因の島運輸株式会社の村井敏宏社長に、「バスの日」(9月20日)にあたり、因島地域のバス路線の現状と課題を聞いた。

村井敏宏因の島運輸社長

現状維持する昨年度の実績

交通手段の多様化による乗客数の減少、燃料費の高騰、バス事業の規制緩和など厳しい経営環境がつづくなか、昨年度は現状を維持する実績をあげた。

一般乗合部門は、総走行キロ88万7927.2キロ、輸送人員57万8000人。乗合高速は、総走行キロ32万8975.2キロ、輸送人員4万人。一般貸切は、総走行24万6995.6キロ、輸送人員2万2959人となった。

バス利用促進のために引きつづき取り組みを強めている。まず様々な割引制度が活用できる。65歳以上向けのゴールド定期。島内線なら1カ月9000円でどこでも何回でも乗れる。地球温暖化など環境改善のための環境定期券。土・日・祝日年末・年始、盆期間に使えるもので、通勤定期券所持者と同乗する家族は大人100円、小人50円ですむ。

さらに定期券の割引率はフラワーライナー(広島線)とシトラスライナー(福山線)の通勤定期は50%、通学は65%。島内線は通勤30%、通学50%。尾道線は通勤30%、通学40%になっている。

小学生向けにバス見学会を開催し、毎年、「バスの日」のころに小学生以下にバス乗車無料サービスを行なっている。雨天時の因島高校乗り入れ、病院通院者のための医師会病院乗り入れ、因島総合病院前バス停設置も好評である。

バリアフリー法施行によって現在、バス車輌のバリアフリー化が義務づけられている。平成12年以降、ワンステップ車6台を導入し昨年11月にノンステップ車1台を導入した。飲酒運転の横行が問題化するなか、乗務員の安全研修がいっそう重要になっている。

経営環境悪化と公共交通網維持

今日のバス事業は、経営環境は悪化する一方にもかかわらず、地域住民の移動手段として必要不可欠な公共交通機関であるために不採算路線からの撤退が困難であるという、矛盾した課題に直面している。

因島地域においても例外ではない。島内路線の赤字を島外路線と観光と他事業及び補助金でカバーする経営を構造化せざるをえない。

バス事業は、たとえ民営といえども強い公共性を求められ、赤字を理由に安易に撤退できるものでない。とりわけ島内路線は、生活路線である。いまなお通勤手段であり、「交通弱者」と呼ばれる高齢者、障害者、通院者、通学生などにとってなくてはならないものである。また、地球温暖化対策としても公共交通機関が見直されている。

バス路線の維持がなぜ必要かについて、住民・行政・企業の三者が認識を共有するときである。そして行政による生活路線を維持するための路線維持費補助と車輌購入補助がどうあるべきか検討されなければならない。その支援なくしてバス路線維持が成り立たないのは明白であろう。

村井敏宏社長は、「尾道市はバス公営事業を長年つづけてきており、その苦労を分ってくれる」と期待をにじませる。

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