三和ドック外航船修繕参入 設備拡張工事が終了 新工場の操業始まる
主に近海・内航船の修繕・改造を55年つづけてきた(株)三和ドック(尾道市因島重井町、寺西勇社長)が昨年から、外航船の修繕事業に本格的に参入している。
その事業に対応する工場拡張工事は2010年頃から始まり、今年の3月末に完成し、4月1日から業務がスタートした。
昨年5月末に7号ドックが完成。全長220メートル、幅45メートル。6万3000トン級の船舶が入渠可能となった。
同7月末に新事務所(本館)完成。地下1階、地上5階。
今年2月末、二番目の立体駐車場ができた。これで昨年にできたものと併せて365台の乗用車が駐車可能になった。3月末には独身寮76戸が完成。いずれも従業員や協力会社の増加に対応するもの。
一連の工事の総仕上げが3月の新工場建屋の落成である。埋め立て総面積1万7000平方メートルの敷地に建てられ、仕上げ、配管、資材倉庫の機能を持つ。
その他に、特高変電所、監督用宿舎(ホテル三和クラブ)、外国人船員寮ができた。
本格的参入の転機
同社の外航船修繕への参入の転機になったのは、今年9月8日から正式に発効する、バラスト水管理条約である。
バラスト水とは、航行する船舶を安定させるために船舶内に積み込む海水のこと。それが積荷終了とともに不要になり、寄港先で処分されてきた。
ところが、とりわけ外航船の場合、その排水の生物生態系への影響が憂慮されるようになった。それを防止するためにバラスト水浄化を義務付ける国際条約が発効することになった。
その結果、今年から5年以内に世界を航海している既存船すべてにバラスト水処理装置(BWMS)を搭載しなければならなくなった。その対象になっている船舶は世界で約6万隻とも言われている。
同社の事業拡大計画の中核をなすのが、その工事における設計と施工技術である。
新造船と異なり、既存船へのBWMS搭載は、それが前提とされていなかったので困難を伴い高度の技術レベルが求められる。同社の技術と人材が必要とされているのである。
三和ドックの新事業への挑戦は全国的に注目されている。「技術力の日本」を担う同社の取り組みへの期待は大きい。
竣工式は4月14日(月)因島重井町の本社工場で行なわれる。さらに秋には、事務所のある東京と神戸で式典が開かれる。
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