父のアルバム【47】第六章 八朔と生きる

昭和56年と表紙に記されたアルバムがある。父が七五歳のときのもので、自らの心境を何種類ものメモにして貼り付けている。その内容はいずれも初めて知った。それぞれを丁寧に読んでみる。

表紙裏には、「1981年、昭和56年は幸せ最高の年」という、太字のタイトルがついている。その下に、毎月の「幸せの出来事」が小さな字でびっしり書き込まれている。よほど嬉しかったのであろう、一月の欄には、「柑橘グループ20日会第10回八朔作り振興大会に於いて夫妻で感謝状と記念の書架を受ける」とある。

一ページには二枚のメモが貼ってあり、その一枚は「5、6、7、8を記念に八朔作り」と題がついている。

⑤56年7月8日は5、6、7、8と並んだ日。これを記念に過去を顧み、新たな決意。
⑥60才で習い始めて16年目。数年間は家内まかせの柑橘作り。男の仕事と悟った、私の畑の仕事。
⑦75才の今年、これからの生きがいと、やる気、若さ、からだで元気を出して、日本一のハッサク作りに挑戦する。
⑧80才まで目標に。大寒波で頓挫したが、これにくじけず、七転び、八起きは私の人生75年。

もう一枚は「5、6、7、8記念に、8人の孫のみなさんへ」である。同じ形式で書かれている。

五 五柱神社を勧請し祀る。
六 六時から朝の摘果作業に励む。
七 ながい病気回復の妻にプレゼント。
八 八十才までのやる気、決意。
き 金盃受領、人権擁護委員6年間に。
ね 年々弱るからだの健康診断。
ん うんと金をあずける。えんで5、6,7,8郵便貯金

父がこんなに「記念」にこだわるとは知らなかった。メモのつづきに、「5つの数字の並んだ日、一昨年の5、4、3、2、1、昨年の5,5、5、5、本年の5、6、7、8。それぞれ記念になることをしました」と記し、孫たちに説明している。

(青木忠)

父の実家の三原の親族を畑に招いた時のもの。中央前面が父。その笑顔に嬉しさが溢れる。

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