重松清作品に見る“家族”のあり方【1】
因島高校総合学科では、毎年3年生全員が課題研究に取り組んでいる。その中から広島県コンクールで優秀賞を受賞した林真央さんの「重松清作品に見る”家族”のあり方」を全文紹介する。
平成27年度広島県ことばの輝きコンクール優秀賞作品
「重松清作品に見る“家族”のあり方」
因島高校3年 林真央
Ⅰ はじめに
重松清氏は、学校でのいじめや不登校、家庭崩壊と子どもなど、近年の社会問題に深く切り込んだ作品を数多く著している、現代を代表する作家である。彼の作品の多くが映像化され、人々に親しまれている。重松氏の経歴は以下の通りである。
1963年岡山県に生まれ、早稲田大学教育学部卒業後、出版社勤務を経て執筆活動に入る。1991年『ビフォア・ラン』で作家デビューし、1999年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で第124回直木賞を受賞する。
著書は他に、『流星ワゴン』『とんび』『あすなろ三三七拍子』『赤ヘル1975』など多数ある。
Ⅱ ”家族”とは
重松氏の作品で、特に多く描かれているのが家族の物語である。我々は常に家族に囲まれ関わり合って生活しているが、あまりに身近なために、その存在について深く考える機会は少ないように思われる。喧嘩をしても結局は「家族だから」で解決してしまう、その”家族”の定義とは何なのだろうか。一般的には、「家族とは、居住を共にすることによってひとつのまとまりを形成した親族集団のことである」とされる。しかし、我々を取り巻くこの単純かつ複雑な血縁的、心理的繋がりに、果たしてたったこれだけの言葉で説明がつくのか。疑問の解決のため、重松氏の作品を通して彼の思う家族像を捉えようとした。また、ドラマ的要素の強い長編作品よりも、短編作品の方が重松氏自身の考え方や家族に対する思いが表れているのではないかと考え、短編集に焦点を当てて研究を進めた。
(つづく)
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