新年の庭先に来てピーヒョロロ鳶(とび)しっかりと福運び来よ

浜田伊勢子
 新年とは言っても、元日、二日、三日とあるから、その何れかの日である。お目出たい年の始めに、我が家の庭先に来て鳶が鳴く。日頃からこの家の人が魚や肉片を与えているのかと思ったが、そうでもないらしい。鳶の鳴き声も遠くと近くで聞くのとは大きく違う。近くで聞くと意外と鋭い。鳴き始めは一段と高く、後は尾を引くように長くひっぱって止まる。今年は珍しく新春から鳶が庭先の木に来て、その美声を聞かせてくれた。去年は我が家に何かあったと言うのではないが、去年とは違った何かよい吉報をくれそうな気がする。人間の毎日の生活には身に余るような幸運は無い方がよい。ごく当り前の、まあまあの日常であればよい。昔からよく言われる、大吉と大凶は背中合せだから、福は福でも小福で良いのである。特に歳を重ねるに従って、どうやって凡々とした現状維持をつづけて行くかである。


 新春の今日、私の庭で一声二声鳴いた、あのとびの飛来は必ず私への小福をもって来てくれるであろう。
 鳶は、とんびとも呼ばれ鴟も鵄も、文字は違うがとびである。鷹(たか)や鷲(わし)と同じく猛禽類で肉食である。死魚でも腐肉でも食べる。生息は、日本全土で低い山や海岸に生息している。食べ物を探すときは低木の枝や、波打ち際に見かける。他の鳥と大きく異なるところは、高空に輪を描きながら滑翔をする。昔からよく聞くのだが、何故か高空にとびが頻りにピーヒョロロと鳴き続けると翌日は雨になる。動物的な感知の仕方があるのか、雨が降った記憶がある。人間に関わりのある「鳶職」の名の由来も、高空を自在に舞うとんびの生態から名付けられたものと思われる。
(文・池田友幸)

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