楽しみが10倍になる 島の観光文化ガイド

掲載号 02年10月05日号

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 スポレク選手役員の皆さま、ようこそ因島へ―。 中世の瀬戸内水軍に興味を寄せるガイドは、中庄町の「因島水軍城」を起点に出発してみたい。

 もっとも室町時代には、お城というものはなく「館(やかた)」にお館様が住んでいたわけで、歴史考証についてはお許し願い「城型水軍資料館」と理解して戴きたい。麓の谷間に因島村上水軍歴代武将の菩堤寺、金蓮寺とその一帯に水軍の集落があったものと想像をふくらませてください。そこから約2キロで江戸末期の碁聖本因坊秀策生誕の地、外浦町がある。

 東海岸「水軍スカイライン」に車を進めると、潮流渦巻く布刈瀬戸に架かる近代美人橋「因島大橋」を正面に一望できる。曲りくねった道路の海側には2万年前の断層が露出している鏡浦。千石船の母港であった椋浦湾。峠の頂上からは四国山脈の連山、眼下に三庄町の三ケ崎城跡、女性の願いごとならなんでも叶えるという鼻ノ地蔵が手にとるように見える。

 いずれも村上水軍にまつわる伝説の地だが、水軍のルーツは大三島の大山祇神社にたどりつく。瀬戸田町から愛媛県境をまたぐ東洋一の斜傾橋「多々羅大橋」を渡って同社に足を踏み入れると2600年前にタイムスリップする。神木がいきづく神秘の社、宝物館は国宝・重要文化財の刀剣武具など全国の8割までが収納されている。同社に奉納されたものばかりである。

しまなみ海道の近代観光マップ

 夢の架け橋だった西瀬戸自動車道「しまなみ海道」全通を視野に入れ沿線島しょ部は観光拠点づくりに官民あげて投資した。

 広島県は、気候温暖な条件から園芸ベルト構想を打ち立てた。向島に「洋ランセンター」―因島は「県立フラワーセンター」―瀬戸田町が世界の柑橘類をテーマの「シトラスパーク」の建設を支援した。

 文化の薫る観光地づくりに瀬戸田町は西の日光「耕三寺」と隣接して現代日本画家の巨匠「平山郁夫美術館」建設。耕三寺は敷地内にローマの大理石を運んで「未来心の丘」という彫刻の丘を創って新名所が誕生した。この美術館で必見したいのは平山郁夫画伯作品を紹介するハイビジョン。予備知識を得てから展示場に入ると10倍以上楽しめる。

瀬戸の夕日 囲碁のまち

 スポーツで汗をかいて、ひと風呂浴びて秋の夕日を眺めれば「値千金(あたいせんきん)」。いんのしまロッジやナティーク城山の宿泊客は窓越しに。ホテルみやじまや瀬戸田町の旅館つつ井や旅館住之江からは海岸へ足をのばせば磯の香りが心地よい。重井町のフラワーセンター裏山の「白滝山」も推せん地の一つ。外人宣教師が建てた異人館「ペンション白滝山荘」からつま先上がりで約分で頂上まで登れる。視界360度。五百羅漢(700体)の石仏に隠れキリシタンの像がある。

 風変わりな趣向では、因島市の「囲碁の出前」。お望みとあれば級位からアマ6段までお好みに応じて地元囲碁協会のメンバーを宿泊所へ派遣する仕組み。ホテルの受け付けに申し込めばよい。無料で好評。

帰路は船旅で

 島に来て旅情を味わう妙案は帰路を船旅にすることをすすめたい。クルージングなら高速艇。瀬戸の島々に寄港するフェリーもよい。JR新幹線三原駅と連絡している。問い合わせは電話2・1337(土生商船)。

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