女優・東ちづるさん 母校因島高校で講演【3】

三十二歳で始めたボランティア活動でしたが、いろんな障害を抱えた人たちとお会いしました。そうしたなかで「人間は平等でない」と思うようになったのです。対等ではあるが、平等ではない、ということです。

白血病の少年を例にとって考えると、彼らに必要な骨髄バンク登録者は世界の先進国の中で我が国がワーストワンという現状。ドナーを待ちながらどれだけの患者さんが亡くなっていくことか。やりきれない気持ちになりました。同じ病気であっても国の対応や医療環境によって明暗を分けることになります。いま一つは、何も知らずに踏み込んだボランティア活動を通じて「心の耳」を傾けなければ彼らを傷つけ、善意がつたわらないということを教えられました。

平和村の傷ついた子供たち

「世界ウルルン滞在記」でドイツ国際平和村を訪れたときの話です。そこにはアフガニスタンなどで地雷を踏んで足をひきずっている子、松葉杖をついている子、片方ずつ違う靴をはいてバランスを取りながら歩行している子供たちが収容、治療を受けていました。その子たちに「何がしたいか」と聞きました。「勉強がしたい。学校が欲しい」というのです。立ち入り禁止の立て看板の字が読めないばかりに危険地帯に進入して地雷を踏んだ子でした。お母さんの手伝いをしようと水汲みに出掛けたときの出来事です。病院が欲しいという子もいました。

すなわち、何かしたいという気持にかられました。収容所の子どもたちにリンゴの皮をむいで与えました。子どもたちは初めて口にするリンゴに「おいしい」と幸せそうな顔をしました。それが三日も続くと余りうれしそうな顔をしなくなりました。そして早く帰国したいと言う。命の保証がない戦乱の国にです。だが、子どもたちは食べるものも水もない酷い生活が待っていても、家がなくなっていたとしても両親のもとへ帰りたいのです。

単純にこの子たちは不孝で、ドイツ村にいれば安心なのだと思っていた「おごり」の心を恥ずかしく思いました。

ひとりよがりの誠意や正義は傍迷惑なこともあることを知りました。平和村での活動は、健康で子供好きであればできることはたくさんあります。寝泊まりも宿舎があるので心配はありません。一番問題なのは言葉で、ドイツ語か英語が必要です。そして即戦力が求められていることでした。

(つづく)

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