般若心経夜空に木霊 鯖大師境内で寒修行

掲載号 13年01月12日号

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一年中で一番寒いといわれる小寒の夜。天狗山テレビ塔中腹にある鯖(さば)大師堂境内は老若男女の唱える般若心経が木霊(こだま)した。

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般若心経を唱えながら寒修行に集う信者たち。(この他の写真はコチラからご覧ください。)

ここの鯖大師は因島土生町の因島病院前の路地にあった弘法大師像といっしょに昭和52年5月、所有者の了解を得て現在地に移転した。当時は経済成長期にあって「島四国八十八霊場」の番外地としてお参りする人が後をたえなかった。ところが少子高齢化がここにもしのび寄り、近年になって、お接待など世話をする人が高齢化、信者も車がないと手伝いもできなくなった―と、残念がる。

いま一つ。日本中で有数の大きさを誇る弘法大師像と小さな堂=写真右=の中に安置される鯖大師の石仏。信者は識別しているが一般市民や観光客の目にとまる大師の強い像がイメージに焼きつき化身である鯖大師像のご利益を軽んじているのでは―という声もでている。

創建者の村井才吉さんは子孫を戒め世の中の安穏を願っての建立だが、その心を継ぐ人たちも数が減るのが心配だと眉をひそめる。

そして、鯖大師の解説を石ぶみに刻んだ因島田熊町浄土寺出身で京都・醍醐寺の座主に登りつめた麻生文雄さんは身なりの乏しい旅僧に鯖を与えなかった漁夫に不漁の罰(ばつ)を与えたというお諭(さとし)を解説しているが、故文雄さんはバチをあてるほどの力があった大師の力を力説されていた。

(村上幹郎)

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