Merry Christmas♪ カイカムリとモクズショイ

福山大学附属水族館マリンバイオセンターに、クリスマス水槽が登場しました!!

サンタさんを背負っているのは『カイカムリ』です。サンゴ礁や岩礁域に棲息するカニの仲間です。北海道南部以南、インド洋、南太平洋に分布しています。後ろ2対のカギ状の歩脚が背中側にあり、その脚でつねに海綿(カイメン)類などを背負いながら周囲の景色に溶け込んで、身を隠すようにして暮らしています。

カイカムリ

色とりどりの布生地や千切ったスポンジでおめかししているのは『モクズショイ』です。サンゴ礁や岩礁域に棲息するクモガニの仲間で、体中に生えるカギ状の毛に、海綿のカタマリや海藻片などを付着させてカモフラージュしています。そのため、「藻屑背負い」が和名の由来となっています。この写真の『モクズショイ』も、モクズに模した布切れとスポンジ片をショッテいるのです・・・。

モクズショイ

筆者紹介

阪本憲司
阪本憲司福山大学生命工学部海洋生物科学科 准教授・博士(農学博士)
尾道の対岸に浮かぶ向島むかいしまに移り棲み、かれこれ20年近くになります。向島は、”しまなみ海道”をつなぐ島のうち、尾道側から一番目の島になります。向島の最高峰『高見山たかみやま』の山頂展望台から眺める風景は、季節や時間を問わず、いつでも素晴らしく、風光明媚な瀬戸内の自然を存分に体感できます。

私は京都市に生まれました。その後、長崎(佐世保)、三重(伊勢)、徳島(小松島)、岩手(盛岡)、宮城(仙台)、広島(尾道)と日本各地を転々としてきました。これらの地の風土に暮らし、さまざまな自然の姿をみてきたことで、ほかにはない”しまなみ”の素晴らしさを実感しています。

『しまなみ海中散歩』と題したこのコーナーでは、瀬戸内海のことや、ここに棲息している魚介類のことなどを皆様に紹介してゆきます。どうぞよろしくお願い致します。

Merry Christmas♪ カイカムリとモクズショイ”へ8件のコメント

  1. naochinx より:

    連投申し訳ありません。(バックナンバーでもコメント済み)
    モズクショイも去年飼育していました。
    でもカニって、魚に食べられますよね?
    カニが魚を食べることもあるし・・・
    海水魚は、淡水魚よりもえげつないかもしれませんね。
    海水魚は他の生物とうまく関わりをもって、無駄のないよう
    共存共栄していますよね。(共生ですね)
    今年の夏に、ソメンヤドカリを室戸で採集しましたが、
    殻にイソギンを付けて身を守るなんてすごいですよね。

  2. 阪本憲司 より:

    naochinxさん・・・
    コメントをいただき、ありがとうございます♪
    水族館には、ワタリガニ、アナゴ、キビレ、チヌ、マダイを収容している水槽があります。
    岩場の影の住処をめぐって、ワタリガニとアナゴがよく喧嘩をしています!!
    余談ですが・・・
    私がもしヤドカリに生まれていたら、不動産屋を営んでいたと思います。
    「いまなら良い殻がありまっせ~っ!! ついでにイソギンもおつけしまっせ~っ」とか何とか言いながら・・・。

  3. naochinx より:

    ワタリガニ、アナゴ、キビレ、チヌ、マダイ・・・
    うわぁ~ おいしそうですね。
    どの魚も商用価値が高い魚ですね。
    大学の研究などでは、やはりこのように食べておいしい
    お魚さんの研究に傾倒するのでしょうね。
    ワタシも大学時代、卒研の先生が淡水真珠の貝を飼育してましたよ。
    生物の急成長化に関する研究とかをやってるようでした。
    もしワタシがチョウチョウウオに生まれていたら、マニアック
    な採集家に採集されて、餌付けがうまくいかないまま餓死させられそうです。ハハハ
    今年はなんとか死滅回遊魚たちの餌付けに成功しましたので
    お魚たちに恨まれることはないと思います。・・・たぶん

  4. 阪本憲司 より:

    naochinxさま・・・
    水族館では商用価値の高い魚介類も飼育しておりますが、私が研究対象としている主な魚は・・・
    ギンブナ、ハオコゼ、メバル、デバスズメダイ、ニジマス、クマノミ類です。
    ギンブナはクローンが得られるので、私の研究対象としては、恰好の材料なのです。

  5. naochinx より:

    少し質問をさせてください。
    1)ギンブナのクローンを研究することでどういう分野に応用
     できるのでしょうか?(全くの素人です)
    2)ギンブナは3倍体が一番多いのでしょうか?
    3)四国に2倍体(正常?)のギンブナは存在しますか?
    4)多くの生物の場合、雌雄があるものが、一般的と考えるわけ ですが生物学的にはどちらが正常なのでしょうか?
     
    不躾な質問で申し訳ありません。

  6. 阪本憲司 より:

    naochinxさん・・・
    1)ギンブナのクローンを研究することでどういう分野に応用
     できるのでしょうか?
    回答:ギンブナには幾つものクローン系が存在します。それぞれのクローンは遺伝的に異なりますから、その遺伝的な違いを利用することで、環境の変化などへの対応の違いなどが捉えやすくなるのです。
    2)ギンブナは3倍体が一番多いのでしょうか?
    3)四国に2倍体(正常?)のギンブナは存在しますか?
    回答:3倍体のギンブナはメスです(なかには4倍体も存在ます)。オス(2倍体のみ)はほとんどいないようです。
    またいつか、このページでギンブナを取り上げたいと思います。
    4)多くの生物の場合、雌雄があるものが、一般的と考えるわけ ですが生物学的にはどちらが正常なのでしょうか?
    回答:大腸菌などの細菌は雌雄がありません。分裂によって、自分のコピーとして無限の命を得ています。
    一方、酵母よりも高等な生物は雌雄をもつことで、互いの遺伝子を混ぜ合わせることで、遺伝的な多様性をつくり出しています。有限の命と引き換えに、より適応度を高める道を選んだ(?!)と言えるかもしれません・・・。
     

  7. naochinx より:

    早々のご回答ありがとうございます。
    素人のワタクシにはやはり少々難しかったですが、
    自分なりにもう少し勉強しておくべきでした。
    申し訳ありません。
    ワタシも年齢的に若い人に色々と質問をされる機会が、
    多くなってきたのですが、我々の若い頃は、質問の前に
    ある程度勉強して、解らないところだけを聞くという
    スタイルでした。
    最近の若い人は説明しても言葉の意味や定義さえも解らず
    説明のための説明が必要なところが多々あり、難儀しております。
    ・・・

    有限の命と引き換えに、より適応度を高める道を選んだ(?!)
    よく、新型のウイルスは、今までの薬が聞かないなどとよく耳にするのですが、分裂によって自分のコピーを作り出すだけでも、適応度を高めることができるでしょうか?
    もし質問の意味がおかしければゴメンなさい。

  8. 阪本憲司 より:

    naochinxさん・・・
    ウイルスやバクテリア(細菌)も、分裂によって自分のコピーを作り出す過程で、ときとして“突然変異”を起こします。
    この突然変異が、致命的な変異でなければ、この変異体が増殖を続けるのです・・・。
    この突然変異が、薬物耐性株を生み出すのです。
    わたしも、講義をしていて思います。
    どう説明すれば伝わるのか・・・最近は、“例え話”が増えました。
    より身近なものに置き換えて、学生が呑み込み易いように工夫しています・・・。

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