春を告げる魚・・・メバル

メバルは眼が大きく、見張っているように見えることからその名が付きました。釣り人の間では、春の訪れとともに良く釣れ出すので『春告魚』ともいわれます。
メバルは棲む場所によって体色や斑紋が異なるため、同じ地方でも呼び名が異なります。愛媛では小型のものを『コビキ』といい、“ヒキ”はヒキガエルのことです。徳川時代までは学者にさえも、ヒキガエルがメバルになると信じられていたそうです。

メバルは、成長とともにオスからメスへと性転換をする魚です。
メバルは胎生で、冬に母親の輸卵管のなかでふ化した5mm程度の仔魚(しぎょ)を産みます。釣り上げたメス親のお腹にみられる砂粒状の銀色の点々は、光ってみえる仔魚の眼です。全長15cmほどのメスでは3万尾、大型のメスになると10万尾近くの仔魚を産むそうです。
スーパーなどでパック包装されたメバルの腹から、たくさんの小さな仔魚がどろどろと流れ出ているのを見掛けることがありますねっ!!

写真は、福山大学附属水族館マリンバイオセンターで飼育しているメバルです。給餌の際は、一緒に飼育しているキジハタ、シマイサキ、マアジなどと餌を取り合っています。

筆者紹介

阪本憲司
阪本憲司福山大学生命工学部海洋生物科学科 准教授・博士(農学博士)
尾道の対岸に浮かぶ向島むかいしまに移り棲み、かれこれ20年近くになります。向島は、”しまなみ海道”をつなぐ島のうち、尾道側から一番目の島になります。向島の最高峰『高見山たかみやま』の山頂展望台から眺める風景は、季節や時間を問わず、いつでも素晴らしく、風光明媚な瀬戸内の自然を存分に体感できます。

私は京都市に生まれました。その後、長崎(佐世保)、三重(伊勢)、徳島(小松島)、岩手(盛岡)、宮城(仙台)、広島(尾道)と日本各地を転々としてきました。これらの地の風土に暮らし、さまざまな自然の姿をみてきたことで、ほかにはない”しまなみ”の素晴らしさを実感しています。

『しまなみ海中散歩』と題したこのコーナーでは、瀬戸内海のことや、ここに棲息している魚介類のことなどを皆様に紹介してゆきます。どうぞよろしくお願い致します。

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