秋の草花3種

秋本番を迎え、日中は秋らしくさわやかになってきました。今回は秋の草花3種類を紹介します。それぞれに特徴のある小さな花をつけます。

ツリガネニンジン

ツリガネニンジン

「山でうまいはオケラにトトキ、嫁に喰わすな・・・」のトトキはこの植物で、春のやわらかい新葉は山菜の王様として、古くから親しまれてきました。、茎に3-4枚の葉が輪生し、秋には高さが約1m程になります。9月~10月にかけて写真のような淡紫色の小さな釣鐘形の花を咲かせます。因島の山のあちこちで見られ、秋を代表する花の一つです。

ヤブマメ

ヤブマメ

9月から10月にかけて野山のいたる所で、紫がかった長さ2cmほどの小さな花を咲かせます。マメ科特有の蝶形花で、旗弁(上弁)が紫色で、翼弁(両横)と竜骨弁(下弁2枚)が白色です。花が終わると、長さ3cmほどの豆果ができ、中に3~5個の種子が入っています。

この植物は以下のような面白い習性を持っています。秋の末頃、茎の根元から白い紐のような地下茎が何本も横に伸び出し、その先に砂粒ほどの花がついて自家受粉で結実し、直径数mmの球形の果実を地中につけ、中に1個の種子が出来ます。

他株からの昆虫の花粉媒介により、多様な遺伝子を残すことの出来る他家受粉と、たとえそれが失敗に終わっても、必ず自分の子孫を残せる自家受粉の戦略を併せ持つ、なかなかしたたかな植物です。

アケボノソウ

アケボノソウ

「春はあけぼの。やうやうしろくなり行く、・・・(枕草子)」

日本全国の山地の水辺に生える草丈約70cmの2年草ですが、因島では中庄町の山の北斜面ただ一箇所で、10月から11月にかけて直径2cm程の白色の清楚な花を咲かせます。花びらにある黒紫色の小さな点々と2個の淡緑色の丸い模様を、明け方の星に見立ててつけられた名前です。

湿地の少ない因島では絶滅寸前の貴重な植物で、大切に残しておきたい花の一つです。

筆者紹介

駄賀恒男
駄賀恒男森林インストラクター
因島の自然を紹介していきます。紹介するのは、森林インストラクターで尾道市因島重井町在住の駄賀恒男(だがつねお)です。

定年退職して因島に移住し、2001年3月から月1回「いんのしま・まるごと自然観察会」を開催しています。その間因島に住むいろいろな動物・植物・キノコを見てきましたが、その中から季節ごとの、とっておきの生き物情報をお届けします。

秋の草花3種”へ1件のコメント

  1. ぽちょ より:

    へぇ~
    おもしろい発見がまた一つ増えました。
    山に出かけるのは大好きなのですが
    いざってなると腰が重いんですよね(^^;)
    家にいながら山道を散策した気分になれました。

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