海のゆりかご-アマモ場

アマモは種子植物
甘藻 アマモは、『甘藻』を意味します。地下茎を噛むとほのかに甘いことに由来します。
アマモは花が咲き、実がなる種子植物で、海草うみくさといって海藻とはことなります。一度海から陸に上がった植物が、また海に舞いもどった仲間です。



なが~い名前
アマモは、『竜宮りゅうぐう乙姫おとひめ元結もとゆいのりはずし』という、植物の中で最も長い和名をもっています。

海のゆりかご
アマモはおもに干潟や沿岸浅海域に “アマモ場” と呼ばれる藻場をつくります。“アマモ場”の生物種は豊かで、重要な生態系のひとつです。
“アマモ場”は潮の流れをやわらげるとともに、外敵から身を守る隠れ場となるため、一部の魚類の産卵場所として利用されたり、さまざまな幼稚魚(魚の赤ちゃん)や小型動物の棲息場所となっています。“アマモ場”の『海のゆりかご』と呼ばれる所以です。

ジュゴンのえさ
ジュゴン(画像: ウィキペディア) ジュゴンは、クジラやイルカと同じように海に棲息するほ乳類の一種です。ジュゴンは “人魚伝説”のモデルとされています。
日本で唯一飼育を行なっている鳥羽水族館では、アマモを韓国から取り寄せてジュゴンに与えています。1頭当たりの1年間の餌代は2,000万円にものぼるそうです・・・。

筆者紹介

阪本憲司
阪本憲司福山大学生命工学部海洋生物科学科 准教授・博士(農学博士)
尾道の対岸に浮かぶ向島むかいしまに移り棲み、かれこれ20年近くになります。向島は、”しまなみ海道”をつなぐ島のうち、尾道側から一番目の島になります。向島の最高峰『高見山たかみやま』の山頂展望台から眺める風景は、季節や時間を問わず、いつでも素晴らしく、風光明媚な瀬戸内の自然を存分に体感できます。

私は京都市に生まれました。その後、長崎(佐世保)、三重(伊勢)、徳島(小松島)、岩手(盛岡)、宮城(仙台)、広島(尾道)と日本各地を転々としてきました。これらの地の風土に暮らし、さまざまな自然の姿をみてきたことで、ほかにはない”しまなみ”の素晴らしさを実感しています。

『しまなみ海中散歩』と題したこのコーナーでは、瀬戸内海のことや、ここに棲息している魚介類のことなどを皆様に紹介してゆきます。どうぞよろしくお願い致します。

海のゆりかご-アマモ場”へ3件のコメント

  1. やっちー より:

    時間も気にせず毎日でも泳いだ小学生の頃
    海が引いている時間に行くと必ず藻場が浮き出ていました。
    泳いでると足に当たるあのざらざら感が
    今でも忘れられません(^^)

  2. 阪本憲司 より:

    やっちーさん、お元気ですか?
    わたしは研究室の学生らと八重子島付近にお魚やプランクトンの採取に行きます。採取は胴長を履いて行ないます。足に絡まるアマモの感触は、胴長の上からでも伝わってきます。
    アマモ場のなかを歩いていると、目の前をたくさんのお魚が泳いでゆくのが観えます。
    水中メガネ(タコメガネ)でアマモ場を観察するのは、わたしの楽しみのひとつです!!

  3. やっちー より:

    確かに!
    水中メガネを買ってもらってから、藻場をもぐるようになってくると、底にたくさんの魚が泳いでいたのを思い出します。
    気持ち悪い感触のイメージから、魚たちの大好きなハウスとしての心地よいイメージに変わってきましたよ~。

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