魚の視力はどのくらい?

魚の視力測定

(イラスト・ぽちょ)

お魚の視力測定

お魚の視力測定法は、ふたつあります。ひとつは、学習実験法。もうひとつは、光を受け取る視細胞の顕微鏡観察による方法です。

(1)学習実験法
まず、お魚にタテ縞模様の標識のある場所をエサ場であることを学習させます。お魚が覚えたら、タテ縞の間隔を少しずつ狭めていきます。となり合うタテ縞が一本に見えた時点で、お魚はエサ場に来なくなります。タテ縞を認識できる最小分解角から視力を知ることができます。

(2)視細胞の顕微鏡観察法
眼の中の網膜に存在する視細胞の分布(密度)から、視力を推定します。

お魚の視力は?

沿岸に棲息しているお魚の視力は0.1弱から0.2弱、大洋の表層を回遊している大型魚の視力は0.3から0.6弱といわれています。お魚は近視と言えますね。

大型表層魚 カツオ 0.43
イシダイ 0.14
カサゴ 0.15
沿岸魚 ブリ 0.11
マアジ 0.12
マダイ 0.16
メジナ(グレ) 0.13
淡水魚 ブルーギル 0.09
オオクチバス 0.17

※ 川村軍蔵著「魚との知恵比べ」(成山堂書店)より

筆者紹介

阪本憲司
阪本憲司福山大学生命工学部海洋生物科学科 准教授・博士(農学博士)
尾道の対岸に浮かぶ向島むかいしまに移り棲み、かれこれ20年近くになります。向島は、”しまなみ海道”をつなぐ島のうち、尾道側から一番目の島になります。向島の最高峰『高見山たかみやま』の山頂展望台から眺める風景は、季節や時間を問わず、いつでも素晴らしく、風光明媚な瀬戸内の自然を存分に体感できます。

私は京都市に生まれました。その後、長崎(佐世保)、三重(伊勢)、徳島(小松島)、岩手(盛岡)、宮城(仙台)、広島(尾道)と日本各地を転々としてきました。これらの地の風土に暮らし、さまざまな自然の姿をみてきたことで、ほかにはない”しまなみ”の素晴らしさを実感しています。

『しまなみ海中散歩』と題したこのコーナーでは、瀬戸内海のことや、ここに棲息している魚介類のことなどを皆様に紹介してゆきます。どうぞよろしくお願い致します。

魚の視力はどのくらい?”へ3件のコメント

  1. うご より:

    お疲れ様です。
    はじめまして。しまなみ、いつも目を通しております、UGOです。
    すごいです。「海中散歩」いつも勉強になります。
    では、ルアー釣りとかの疑似餌の場合はどうですか。
    色とか動きとかが個々により、異なってますか。
    魚種によって、よく見える色彩などはありますか?
     
     ん~、奥が深いです。。。 

  2. 阪本憲司 より:

    うごさま、返事が遅れてすみません。
    ここ数週間はハード・スケジュールでした。
    学会出席のため、鹿児島にも行っておりました。
    鹿児島ラーメンを堪能してきました。
    お問い合わせいただいた“色彩”については、いずれこのコーナーで述べたいと思います。しばらくお時間を下さい。

  3. 川村軍蔵 より:

    講談社ブルーバックスから4月20日に発売される『魚の行動習性を利用する釣り入門』(私が著者です)を紹介申し上げます。この本は、魚は釣りの仕掛けが見えるか? ルアーの色を変える意味はあるのか? 魚はどこに集まりやすいのか?魚はどんな餌を好むのか? 釣れやすい魚、釣れにくい魚はいるのか? 釣り糸は細い方が本当にいいのか? など、釣り人を悩ます疑問に科学的に答えています。プロの漁師も用いる研究成果を、釣り人向けに解説した、画期的な釣り入門書です。ご一読いただければ幸いです。

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