因島高校教諭 岡野 喜博(昭46卒)
 因島高校・因島北高校の卒業生のみなさんこんにちは。両高校が統合して、早いもので6年がたちました。この間、同窓生の皆様からは、陰に陽にと、さまざまなご支援を「因島高校」のためにいただきました。ありがとうございます。

 学校統合の結果、普通・機械・家政の3科は廃止となり、新しく総合学科が設置されました。新因島高校の基礎を築いた総合学科1~3期生が卒業して、現在4期生から6期生の生徒が在籍し、学校は大きく飛躍しようとしています。県内各地では、少子化と中学卒業生の都市部への流出が進行し、学校の存続が危ぶまれています。本校でも、その傾向があります。
 平成元年(1988年)の因島市内の中学卒業生は600人余りでしたが、本年度の中学卒業生は240人余りでした。この15年余で約半数に減っています。しかし、島外の高校(尾道北・尾道東、三原地区の高校、弓削商船高専等)へは毎年100名前後が進学していきます。この状態が続けば、平成18年度に小学校へ入学する児童(約150人程度)が高校生になる頃には、因島高校は全校で3~6学級(全校生徒数200人程度)の小規模校になり、総合学科としての利点が活かせないばかりか、場合によっては募集停止・廃校という道へすすむ可能性があります。
オーストラリアへの法学研修
 統合後、PTA、同窓会、地元行政・議会等を中心に「因島高校を支援する会」が設立され、会からは「海外語学研修派遣」事業やサテライン講座(大手予備校の衛星放送による補修講座)、学習合宿等に多大なご支援をいただいています。
 オーストラリアへの「海外語学研修派遣」事業は、平成14年度から、地元行政・議会やPTA・同窓会・因島高校を支援する会の支援により始めました。第1回・第2回の参加者や保護者の方からは高い評価とご好評をいただき、関係者一同は「実施してよかった」という安堵感や喜びでいっぱいです。
 第1回の参加者は、オーストラリアで学んだこと、感動したことなどを、帰国後、地元中学で、体験発表をおこない、因島高校の活動のアピールをしました。
 昨年度(第2回)は、SARS(サーズ・和名:重症急性呼吸器症候群)の影響で、夏休暇中に実施できず、春休暇中に実施しました。本年度も8月1日出発、8月11日帰国予定の日程で、語学研修を実施します。(現時点では12名の生徒が参加を希望しています)。単なる語学研修におわらせず、国際的視野を広げる一助にするとともに、外から日本や因島、自分自身の生き方等を考える機会となるようを願っています。同窓生の皆様には、この「海外語学研修派遣」事業が末永くおこなえるよう、相変わらない多大なご支援を賜りますようお願いします。
因島地域の行事に色参加
 今夏も8月末には、故郷-因島-では、“火祭り”(跳楽舞)に始まる水軍祭があります。「跳楽舞」には、6年前、当時の生徒会役員を中心に参加をしてきました。一昨年(平成14年)からは、生徒に呼びかけて「小早」レースに参加しています。賞をもらうまでの力量はまだまだですが、友とともに「権」を漕ぎ、青春を燃焼しています。
 本年も、3年生の多くが「小早」レースに参加します。8月末には「しまなみビーチ」(旧津部田フェリーの大浜乗り場近)へ、声援を届けてくださればと存じます。育った町「因島」を知り、卒業した後も故郷を思う心。それが、この水軍祭りで芽生えればと願っています。

母校チーム、レースに参加
総合学科の進路
 総合学科に学科再編をした後の「進路」実績については、在籍する3分の1が大学へ、3分の1が短大・専門学校、3分の1が就職という比率になっています。
 統合直後の国公立11名合格と中国電力・アイメックスなどへの就職を最後に「進路実績は低迷している」とのご指摘を各方面からいただいています。本年は、「特別進学クラス」の開設と、全校での「学力向上」対策をすすめて3年目の節目にあたります。今年こそ、進路実績が大きく飛躍するであろうと期待しています。本年度の進路目標は、国公立大学10名合格、もしくは、これに匹敵する進学実績と地場主要企業への最初の試験で全員合格(内定)です。入学・入社試験を乗り越える学力をつけるために、現在、進学(就職)補習、水曜日を除く7時間授業(一部希望制)、学習合宿の実施、校内実力テスト(就職・進学両方)、面接指導などを実施しています。
 このように近隣の高校・高専へ進学しなくても同じ結果が出せるよう、様々な取り組みをおこなっていますので、是非とも因島高校への進学をおすすめください。
息をふきもどしたクラプ活動
 本校は、統合前、様々なクラブが地区・県大会で活躍してきました。ことに、ソフトボール部は、昭和30年代から40年代にかけて県大会で優勝を争ってきました。しかし、近年の子どものスポーツ離れと多様なクラブの進出のため、“部員ゼロ”となりました。長い間、地域に根ざしたスポーツでしたが、残念でなりません。
 しかし、その反面、何度も全国大会へ出場したことのある女子ソフトテニス(軟式庭球)部は、現在も健在で、昨年度、本年度と地元に残った経験者が活躍し、久しぶりの県大会出場と3回戦進出を果たしました。また、旧因島高校の狭いグランドで時間を融通しながら練習をしあってきたサッカー部と野球部も健在です。サッカー部は、地元に残った経験者を中心に練習を重ね、本年度の尾三地区総体では、如水館高校と優勝を争うまでに成長しました。一方の野球部も、一昨年度の3回戦進出を期に、OB会が設立され、野球部保護者会とともに、部員の活動を支えています。
ふるさと因島の囲碁っ子はどこかが違う
 新聞の見出しでよく見かける、本校の有望クラブは、「囲碁部」と「体操部」です。囲碁部は、本校3年の岡野涼太君を中心に広島県高校囲碁選手権大会や中国高校囲碁選手権大会へ出場してきました。ことに、岡野涼太君は、「秀策の再来か」と言われるほどの力量を持った生徒で、昨夏の全国高校文化祭(囲碁の部)では、広島県チームの主将として出場し、広島県チームの中で全戦全勝でした。また、本年7月27日(火)から開かれる全国高校囲碁選手権大会に個人の部で出場するとともに、鳳風杯(プロ・アマオープントーナメント戦:日本アマ主催)にも出場します。全国大会では、因島高校だけでなく、本因坊「秀策」の故郷、囲碁の島である「因島」を全国に広めてくれるものと期待しています。
 また、体操部の田頭剛君は、昨夏の全国高校総体(インターハイ)出場、国民体育大会(静岡わかふじ国体)のメンバーとして参加を果たしました。今夏は、7月31日(土)から3日間、グリーンアリーナ(広島県立総合体育館)で行われる中国04総体の体操競技の部(個人戦)への出場がすでに確定しています。
 最後に、同窓諸兄・藷姉の皆様には、旧因島北高校の地に統合・移転した、新「因島高校」の現在を、是非、ご覧いただきたく思っています。後輩たちが元気に活動する姿。真新しい学舎。時代の先端をいく諸設備など。休校日(土曜・日曜・休日)以外であれば、所定の手続きの後、いつでもキャンパス内を見学いただけます。どうぞ、故郷一因島-とともに、「因島高校」へもお立ち寄りくださればと存じます。
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真剣な、対局中の岡野君