関西支部事務局長 村上福造

 爽やかな秋風と紅葉に誘われ、また、見聞を広めるため関西支部の有志27名が、11月16日から1泊2日で世界文化遺産の白川郷と厳しい修行で知られる曹洞宗大本山の永平寺に行ってきました。

秋色鮮やかな白川郷をバックに展望台からパチリ

 当日は清々しい青空、素敵な旅日和で期待を胸いっぱいに膨らませ、新大阪駅団体待合所に三々五々集まり、早くも学生時代気分で声も若やぎ、わいわいがやがや、満面の笑顔を乗せた、バスは定刻8時30分に出発。
 車内は久々の再会で和気藹々。非日常は「ボケの妙薬」と、勝手な理屈を付けながらテンションは上がりっぱなし。名神高速から東海北陸道へと進路が変わると、車窓を流れる景色は一変。山肌を染めた紅葉と常緑樹の素晴らしいコントラストに感嘆の声。
 島育ちの私たちには別世界のような景観に魅了されました。金子征二郎支部長から同窓会活動の報告のあと、本部からいただいたCD「校歌、故郷の歌」を流すと各時代の校歌では、それなりに口ずさんでいましたが、因島市の歌、因島小唄のところでは、懐かしさが一気に爆発。瞬時にしてあの日、あの頃が蘇り、故郷に思いを馳せていました。
 事務局が用意したビデオで合掌村の茅葺き屋根の葺き替え、生活の様子などを予習。さらに気分転換にと村上忠弘副支部長が作った難問、奇問のクイズを、松浦正文レクリェーション部長がユーモアたっぷりに司会しながらクイズ大会。衰え始めた脳をフル回転しているうちに山紫水明の里、郡上八幡に到着。
 郡上八幡博覧館で地元の人々が、豊かな水の名水「宗祇水」を有り難く一口飲み、「死ぬまで生きる」との説明に思わず苦笑しながら、健康でいることに感謝の心を新たにしました。
 さあ白川郷へ向けて出発。遠くに新雪鮮やかな白山がチラッ、チラッと顔をのぞかせる山峡の曲がりくねった道は秋真っ盛り、ほどなく山懐に抱かれた白川郷に到着。さっそく展望台へ行くとポスターなどで見慣れた景色が視界いっぱいに広がり、記念写真を撮る観光客であふれ返っていました。私たちも負けずと集合写真をパチリ。
 まさに日本の原風景そのものでした。
 集落に入り、国の重要文化財に指定されている和田家の内部を見学し、重厚な建物の屋根に1本の釘も使わず、雪の重みに耐える柔軟性から縄だけで固定する先人の智恵に感服しました。今夜の宿は「子供が出来る温泉」で知る人ぞ知る平瀬温泉の「くろゆり荘」。車内では「今から子作りに励もう」などと冗談が飛び交い大はしゃぎ。疲れた身体を温泉で癒し、ご馳走に舌鼓を打ち、話の花を咲かせたあと、早めにご就寝。
 翌日は時雨そぼ降るなか、健康長寿を願って永平寺へ。途中、久谷焼窯元に寄り昼食タイム。「カニ入りかやくご飯」に満足したあとは、久谷焼の素晴らしい匠の技からなる多くの作品で目の保養をさせてもらいました。
 水墨画のような景色と心地よいバスの振動にうとうとしていると、青空がのぞき喜んだの束の間、山門近くなると土砂降りの大雨、雷のおまけ付き。濁世を離れ仏門に帰依し、若き僧が一心に修行する厳しさを天が教えてくれたようなものでした。礼節を守り、自己を戒めながらの行は、今の日本社会の模範だと思います。
 雨に濡れた紅葉のなか、静かに佇む名刹は趣深く慈悲の念を感じました。参拝を終えた皆さんの姿は、心洗われ晴れやかでした。さらに健康になり、寿命も延びたことでしょう。
 帰路のバスは旅の余情を乗せて快走。冬の気配漂う北陸道から見る海は、瀬戸内海では決して見ることの出来ない怒涛逆巻く荒海でした。まさに日本海の厳しさ、凍てつく寒さに耐える人々の苦労が窺えました。
 楽しかった旅も終わりに近くなり、夕日に見送られながら一路大阪へ。大津を過ぎるころ「もう1日どこかに泊まろうや~」と、親しくなった友との別れを惜しむ声もありました。沢山の思い出と世代を超えて理解し合い、より強い絆で結ばれ、人の温もりと優しさを再確認した意義ある同窓会の旅でした。

雨の永平寺を散策。厳粛な気分にひたりました。

話も弾んだ平瀬温泉「くろゆり荘」での夕食